晴れの国野生生物研究会

晴れの国野生生物研究会

 


晴れの国野生生物研究会の沿革

晴れの国野生生物研究会
〒689―2352 鳥取県東伯郡琴浦町浦安250-10
tel:0858ー53ー1237  fax:0858ー53ー1237
furimaya@sk2.so-net.ne.jp
http://www.net626.co.jp/harehp/hanz0.HTM
http://www.net626.co.jp/sougenhp/

晴れの国野生生物研究会は、バブル期のリゾート開発ラッシュ時に、「地域の自然は、地域の人間で調査しよう」という理念のもと、関西トンボ談話会の事務局長の谷幸三氏の指導のもと野生生物の調査手法を学んだ調査技術者が集まり、平成3年に、備前市の山中で野生ジカとカスミサンショウウオの調査を実施したのを契機に設立された研究グループである。
晴れの国野生生物研究会は、平成3年3月に水生生物の調査研究において全国で第一人者の谷幸三氏の指導のもと、岡山県備前市の山中で野生ジカとカスミサンショウウオの調査を実施したのを契機に設立された研究グループで、中国地方をフィールドに野生生物の生息状況、生息環境を調査し、野生生物を地域の資源として保護し、野生生物をシンボルに自然と共生する魅力的な地域づくりを進めている。
中国山地をフィールドに野生生物調査や自然観察会を実施するほか、オオサンショウウオ、ヤマネ、カスミサンショウウオ、モリアカガエルなどの棲息地の保全再生活動を行っており、平成8年秋より、岡山県中和村での自然観察公園の整備にあたり、自然再生、自然観察路・自然解説板の整備について技術指導を行っている。大山・蒜山地域では草原や里山の景観、生態系、絶滅が懸念される野生生物について保護保全活動を進めており、2005年11月の「第7回全国草原サミット・シンポジウムin大山蒜山」開催を契機に、グラウンドワーク大山蒜山を組織し、エコツーリズム事業も推進している。
晴れの国野生生物研究会は、バブル後期のリゾート開発計画が全国に展開し、里山を中心にふるさとの自然や生態系が失われようとしていた平成3年3月に、谷幸三氏(関西トンボ談話会および奈良県自然保護協会事務局長)を会長に発足した生物研究会で、ふるさとの自然は地域の人で調査し、大切にしようと、岡山県を中心に中国四国地方をフィールドに活動してきた。
現在は、鳥取県、広島県、島根県などにも会員が増え、中国四国地方を中心とする西日本において、地域に生息生育する野生生物の実態や生息生育環境について調査研究を行い、保護保全をはかるとともに、人と野生生物とが共存し、人が美しい自然の中で生き々と生活することのできる自然共生型社会の実現と、平和社会の構築を目的としている。
これまでの活動として、中国山地を流れる中小河川について底生生物(主に水生昆虫)調査、山地や丘陵地で小型哺乳類の生息調査を実施するほか、カスミサンショウウオ、モリアオガエル、ルリボシヤンマ、ムカシトンボ、ハッチョウトンボ、サラサヤンマ棲息地の保全再生調査(主に湿地や池沼の保全や再生)を行っている。
中でも平成8年より岡山県中和村における自然観察公園「津黒いきものふれあいの里」の整備では、調査構想の段階より関わり、カスミサンショウウオ、モリアオガエル、オオサンショウウオの生息環境再生する形で、園地整備を立案するとともに、自然観察路や自然館の設計や工事施工に関して、指導を行っており、近年はトンボ池ビオトープづくりやモリアオガエル産卵池づくりなどのエコアップ活動の実施に際してボランティアの技術指導を行っている。
これらの調査保護活動に加えて平成7年夏より、真庭郡内や大山山麓、作東町、智頭町など中国山地の農山村で親子を対象に自然観察会を多数開催している(地元町村と連携)。
オオサンショウウオ保護については、研究会発足当時から取り組んでおり、生息環境である清流域での生物調査も実施し、石積み護岸の復元や石積み技法の伝承など、伝統的な川づくり工法に着目し、「里川工法」による「昔懐かしい故郷(ふるさと)の川の再生」をテーマにした川づくりを提唱している。

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その活動

●谷 幸三
〒630―8306 奈良県奈良市紀寺地蔵町1001-1
tel:0742-22-7845  fax:0742-22-2666  kozo-t@kcn.ne.jp
1943年2月26日生
昭和18年 大阪市生まれ。近畿大学農学部農学科昆虫学教室卒業、奈良教育大学大学院教育学研究科理科教育専攻、修士課程修了、環境科学博士、環境省専門委員。
奈良市に在住し、関西トンボ談話会、奈良県自然保護協会、大台ヶ原・大峰の自然を守る会の事務局長、大阪産業大学人間環境学部の講師をつとめるなど、近畿圏を中心に自然保護活動を展開する中、全国各地で自然観察会や講演会の講師を行っている。
著書として、原色日本昆虫図鑑(トビケラ)共著(保育者)、水生昆虫の観察(トンボ出版)、トンボのすべて(トンボ出版)、決定版生物大図鑑(カワゲラ・トビケラ)共著(世界文化社)など多数。

平成3年の発足当時より、大山・蒜山地域をフィールドに野生生物の調査や自然景観調査、景観シンポジウム・地球環境セミナーの開催を行なっているほか、これまで数多くの自然観察会を実施しており、大山山麓などで親子を対象に自然観察会を開催している。
また、ギフチョウやウスイロヒョウモンモドキ(蝶)、オオサンショウウオをはじめとする希少な野生生物の保護に取り込んでおり、その棲息地となる草原・湿原、清流の保全再生活動を実施している。
そして、2004年11月に真庭遺産研究会、鳥取大学らと連携し、第7回全国草原サミット・シンポジウムin大山蒜山を、2005年3月にオオサンショウウオ・フォーラム(シンポジウム)を開催している。これら調査研究活動やシンポジウムなどの開催とあわせ、大山蒜山地域では、自然環境ガイド養成セミナーを開催するなど、県境を越えて活動する自然保護ネットワークの形成に努力している。

野生生物保護の民間研究グループで、平成10年に岡山県中和村役場より自然公園内の自然解説板作成業務として90万円、平成14年に岡山県作東町農林課より自然観察イベントの企画運営費として50万円の委託を受けている。
平成18年は、農林水産省より農村景観・自然環境保全再生パイロット事業の補助を150万円、および、同省より農村コミュニティ再生・活性化支援事業の補助を150万円受けている。

団体の役員及び主な構成員
代表・・・・谷 幸三(会長)
団体の役員・・・・谷口真一(副会長、事務局長)、實村 巧(副会長)、岡村良明(幹事)
       辻野誠三、矢藤益美、遠藤勝壽、横山芳和、瀬島義之、辻野正子
主な構成員・・・・山本善民、野田奏栄、中村伸行、ブライアン・ウィリアムズ、岡村洋子
樋口泰昌、大呂辰夫、大原義賢、香山昌男、佐々木高一ほか

●谷口真一
1960年7月2日生
昭和35年7月に鳥取県琴浦町生まれる。鳥取大学農学部卒後、農業新聞記者や地元ケーブルテレビ局などを勤め、これらの取材スタッフ活動を通じ、大山(国立公園)などの自然情報、観光情報を地域に提供してきました。現在は、鳥取県自然環境巡視員(嘱託職員)として、鳥取県の自然環境保全に携わっている。
また、晴れの国野生生物研究会副会長、大山らくらく散歩会の事務局長、日本野鳥の会鳥取県支部会員、日本自然保護協会の自然観察指導員でもあり、長年にわたり大山をフィールドに野鳥調査と保護活動を行なっているほか、長年にわたり大山自然観察ノート「下を向いて歩こう」を環境レターとして発行し、多くの自然愛好家との情報交流を行い、2003年には鳥取県赤碕町の船上山、2006年には鳥取県大山町の大山集落にて日本自然保護協会主催の「自然観察指導員講座」を中心スタッフとして企画運営している。
このほか、真庭市や美作市福山地区など岡山県中北部の農村域においても地元住民団体と連携し、自然観察ベントを多数開催しています。今年春より「山の学校ビオトープ倶楽部」の会長代理になる。

●谷口真一 事務局長(副会長)
1995年より国立公園大山をはじめ鳥取県内で野鳥の会などに属し生物調査を行う。
1998年より自然観察指導員(日本自然保護協会)になり、大山滝などで自然観察会等を多数開催する。
2003年より大山蒜山地域において、草原環境の保全に係わり、全国草原サミットなどを開催している。
2005年より大山南麓(鳥取県江府町)において、ギフチョウの調査保護活動を行っている。

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茅葺き屋根の家

地域固有の草屋根民家には、自然と共生する智恵や文化が宿っている。
  社会構造が変化し、価値観が多様化した現在、古き良き時代の生活文化を偲ぶ草葺き屋根の民家から学ぶべき「地球にやさしい暮らし」や地球温暖化防止に向けて一人一人がなすべき生き方は多い。
  地球の温暖化と混迷する経済のもと、大量生産、大量消費の社会が見直されている。
生産的と考えられていたことの中に、実は大きな資源の浪費と、自然と文化の破壊をまねいているものがある。
  古い物を大切にする。自然のままの材をつかう。里の自然を楽しむ。今まで非経済的な行為とされてきたことも、循環型社会や地球温暖化の防止を考える上で、評価されるようになってきた。
  古き良き時代や伝統美という言葉がある。レトロやトラッドという言葉を耳にしたことがある。郷愁やノルタルジーだけでは説明できないものがある。
自然系建築素材で造られ、省資源・省エネルギーの住宅である草屋根民家を考えることは、自然と共生する生き方や地球環境時代のライフスタイルを考える上で大きな意味をもつ。

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風景の保全再生

●美しい自然は人に感動を呼ぶ。懐かしい風景は人に安らぎや落ち着きを与える。そういうものが失われていくことが、今は時代のなりゆきですまされがちであるが、そんなに遠くない将来、人にとって大切なものであったと気づく日が来るであろう。
京都の美山町や鳥取県江府町の草葺き屋根の小屋にみるように、草葺き屋根の民家は田舎の自然にとけ込んで、懐かしい日本の原風景を演出する。
昔から地域に残る草屋根民家は、美しい農村風景を演出するのみならず、自然と共生する知恵や文化、農村の歴史文化、生活文化を伝える民俗文化財であり、地域遺産として大切にすべき環境ランドマークである。
それは、単に草葺き民家を別の場所に移設し、建物を保存するというよりも、草屋根民家が立地する環境そのものを原風景として保全する取り組みも大切である。
  日本の草葺き屋根の民家は、その地域の気候風土や土地利用、生活文化を反映させており、水田農村環境の中、周囲には棚田や里山、小川、鎮守の杜、竹薮、里川などの農村環境要素と一体になったものだからである。
現在、多くの地域で草葺き屋根の民家が移築され、民俗資料館や休憩施設などに利用されているが、地域の自然と調和した風景を再生するという観点から移築保存にあたっては、その立地についての検討も必要とされる。
草葺き屋根の風景を考える時、周囲の自然や農村風景の成り立ち、生態系まで踏み込んでみたい。そこには、町並み保存や都市計画といった建築学的な要素よりも、ビオトープや生物多様性といった生態学的な知見を大切にしたい。

●日本の農村風景を代表する茅葺き屋根の民家、その懐かしくも温もりのある風景も次第に姿を消しつつある。
  草葺き屋根の民家は、民族文化財や観光資源であるばかりか、自然との共生や資源循環型の社会について私たちに語りかけている。
  この40年あまりで、日本の自然や風景は大きく変わった。とりわけ昔懐かしい農村風景はいたるところで失われ、あわせて地域文化や「日本の美」も失われつつあります。
  それは、郷愁やノスタルジーで言うだけでなく、地域資源・観光資源の損失であり、日本の財産の損失でもある。
草葺きサミットの活動の中で、懐かしい農村風景の保全について、多くの人が関心を寄せていることがわかり、他地域との交流や協働に保全活動を展開していきたい。
  具体的には風景資源(視対象や風景物)の保護保全から進めていきたい。
  これは自然保護の運動やトラスト活動にも共通する活動であり、比較的住民・市民の賛同と協力を得やすい。
真庭遺産研究会では、地域に残る風景資源を掘り起こし、データベース化する作業から進めている。そして、今、草葺き民家をモデルケースに景観や風景資源の保全の実践モデルづくりに取り組んでいる。
  そのフィールドは岡山県の真庭地域や国立公園大山・蒜山エリアである。
  そして、草葺き民家の景観保全について全国的な展開も進めている。

●草葺き屋根は昔懐かしい農村景観を演出する。あわせて、茅場となった里山草原は、美しく明るい山里の風景をなし、日本の景観美となっていた。
  そして、蒜山地域では、10以上前より景観条例が制定され、自然環境や景観の保全に力が注がれている。
草葺き屋根は景観資源である。草葺き民家の保存活動を進めていくと、景観や風景の保全と結びつく、それは、従来の景観論や風景論とは少し違い、風物詩や原風景の保全ように「生きた景観資源」にみらるような、より生活者や市民・住民の視点に近い形での環境保全のアプローチであった。日本の国民が大切にしい風景要素や原風景、その中には「草葺き屋根の民家」のように、時の流れの中で移り変わる景観資源の位置づけは、日本の景観の考える上で大切である。
  そして、草葺き民家を原風景ランドマークと呼び、それを取り巻く周囲の自然とともに保全を考えていきたい。
風景」という言葉と、「景観」という言葉がある。
  「美しい日本の自然と風景の保全再生」を考える上で、この「風景」と「景観」についての解釈のわかりにくさが「景観」そのものを国民の関心を低下させている。
  とくに、「景観」については学者によって定義がかなりばらついいるように思える。
  いずれにしても市民・住民などからすれば、わかりにくいので、「町並み保存」など、ケースによって別の言葉に置き換えないと、地域をあげての保全活動に結びつきにくい。
地域の景観や風景は、その地に生活する人々の営みによって形成されているものが多く、農村域での景観の保全や形成は、そこに暮らす地域住民を主役として考えないと、現実的に実行性が乏しくなるということである。
  もちろん、そこには気候や地形など自然という絶対的な環境条件があり、人がいなくても自然の景観はつくられていまる。
  富士山、摩周湖、華厳の滝、尾瀬ヶ原なども大自然がつくった「日本の景観」である。
「風景=景観」として考えたい。どうしても学者が異議を唱えるのなら、そういう理屈っぽい輩は相手にしないで、「風景≧景観」と開き直って、「美しい日本の自然と風景の保全再生」の活動を足元から、草の根的に進めていきたい。
蒜山地域では、バブル経済期のリゾート開発や観光開発による景観や自然環境への影響を考慮し、平成元年より、川上村、八束村、中和村が連携し、総合的な景観調査を実施し、景観条例を制定している。
しかしながら、現在、蒜山地域では、国利公園地域外で別荘分譲開発による景観や自然の破壊が進行し、さらなる環境保全のための活動や施策、制度の必要性が生じている。

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かやぶき民家の活用

真庭地域で。グリーンツーリズムを事業化・ビジネス化し、草葺き屋根の保存活用・再生を進める上で、複数の事業協同組合を立上げ、「草葺き民家トラストバンク」、「草原の保全と茅バンク」、「草葺きグラウンドワーク」を進め、「草葺き屋根のセカンドハウス」などのものづくりにも取り組んでいきたいと考えている。
それは、「日本の美の伝承」であり、「伝統技法の継承」であり「農村文化の伝承」でもある。私たちが対象としたいのは、ほっておくと人知れず、消えていく「ローカルな日本遺産」や「農村原風景」、「ふるさとの自然」、「街の古いランドマーク」などもある。
  「茅葺き屋根」のほか、「土蔵」や「石積み」、「里川(昔ながらの農村の川)」、「柿や梅の風景」など、日本の農村原風景をイメージさせるものは多くある。
「古い物だけ」を、「今あるものだけ」を対象とするとなると、「もつ人」と「もたざる人」の間の感情の差が生じる。
  「ワシら茅葺き民家所有者の苦労も知らないで、好きなことを言うな」で終わってしまっては、参加意欲、協力意欲も失せてしまう。
「日本の美の伝承」、「伝統技法の継承」、「農村文化の伝承」を進めるためには、新しいものの中に、古いもの良さを積極的に取り入れる挑戦も必要である。
  「古いものもつ人」だけでなく、「古いものをもたざる人」も「日常生活において日本の伝統美」を楽しみ、継承する仕組みづくりを考えている。
草葺きの建物を考える場合、より現実的なものとして、草葺き屋根をもちいた公園施設の導入である。今、多くみる休憩舎(東屋・四阿)やトイレ棟、交流施設など施設の多くは、既成品化し、地域の固有性を失っているばかりか、「地球環境にやさしい」といえないようなものも目立つ。
  森の中、牧野の中、湖畔、街中など、それぞれの環境や立地条件に応じて、地域固有のデザインの草葺き屋根の施設を考えると、今までに無い公園イメージが思い浮かぶ。住民参加で考える施設や公園そのものがあってもよいと思う。
  そして、それは新しく整備する公園施設に限らず、自然歩道の脇の休憩舎、街中の空き地を利用した緑地スペースなど、ちょっとした場所に草葺き屋根が出現するだけでも興味をそそる空間が生まれることとなる。
かつて、農村の川や野原、山は、美しく管理され、四季それぞれ、子供がいろんな遊びを楽しんでいた。ある意味で里山そのものが公園であった。池や小川があって、棚田があって、雑木林や山道のある林野域には、そのような里山の原風景が残されていた。そのような林野の近くには、梅や梨の花が咲くのどかな畑の風景、古い大きな民家、苔むした寺、神社、鎮守の杜、老大木を見ることができた。今、山林や農地の荒廃が懸念されている。
  また、地方に立地する街の多くは、中心部が寂れるとともに、周辺の市街化や住宅地化が進み、地域性や個性、風景的な魅力を失いつつある。
  そのような今日、草葺き屋根に施設をシンボルあるいはアクセントに地域づくり、街づくりを考えることで、地域の個性や美観をつくることも考えてみたい。

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草葺き民家トラストバンク

●「草葺き民家トラストバンク」は、「茅葺き家屋」についての情報管理システムでる。
  今、真庭遺産研究会では、真庭郡内の茅葺き家屋について、町村別に分布調査を行っている。今までの調査で、真庭郡(約18,500戸)に500〜600棟の「茅葺き家屋」が残存していることがわかった。
  この中には文化財クラスのものから崩壊寸前の納屋まで含まれている。それらについて、「茅葺き民家台帳」を作成し、所有者の協力のもとに、利用状態、保存状態、立地条件、周辺環境、所有者の保存活用意欲、利用可能性などについて調査を進め、情報を管理していくシステムづくりを行い、グリーツーリズムや都市農村交流、田舎暮らしを推進する中で、資源としての活用を考えていきたい。
  普通この種のものは、空家情報になりやすいのであるが、農村文化情報や建築文化情報、民族文化財的な情報、周辺環境(自然・歴史)情報を入れることによりデジタルアーカイブ化をはかり、地域文化の紹介や継承活動も促進する。

●「草原の保全と茅バンク」は、蒜山高原に広がる広大なススキ草原をはじめ、里山域に育つ「茅」を地域資源として活用し、美しい草原の環境の保全しようというものである。
  茅場調査を継続し、茅場(里山草原)台帳を作成することで、利用可能な「茅場の分布」や生産可能な「茅の量」を把握し、美山町をはじめ、茅葺き民家の修復や維持管理を考えている個人や団体に安価・安定的に供給するシステムをつくっていく。
  そのためには、「茅場の環境管理」や「茅の刈り取り・保管・運搬」などを行う実働組織づくりが必要となりますが、上手くいけば、コミュニティビジネスにつなげることができます。その意味でも、「草葺き屋根のセカンドハウス」や「草葺き公共施設・公園施設」などの需要を高めるアイデアも必要になる。
  茅場台帳には、景観や生態系、植生、文化財の分布など、周辺環境情報を入れることによりデジタルアーカイブ化をはかり、農村風景の保全、里山ビオトープの再生、保健保養の場としての活用を考える。

●「草葺きグラウンドワーク」は、「セミプロ茅葺き職人」や「ボランティアによる茅葺き応援団」の育成や組織づくり、ネットワークづくりを考えている。また、茅葺き家屋の所有者どうしの応援協力体制づくりも考えている。
  この場合、真庭郡内だけを見ていても数的に限界があるので、「都市農村交流」や「京都美山町など茅葺き先進地との連携」が必要である。これには、一つの理念を明確にしたいと考えている。
  それは、「日本の美の伝承」であり、「伝統技法の継承」であり「農村文化の伝承」である。私たちが対象としたいのは、ほっておくと人知れず、消えていく「ローカルな日本遺産」や「農村原風景」、「ふるさとの自然」、「街の古いランドマーク」などもある。
  「茅葺き屋根」のほか、「土蔵」や「石積み」、「里川(昔ながらの農村の川)」、「柿や梅の風景」など、日本の農村原風景をイメージさせるものは多くある。

「古い物だけ」を、「今あるものだけ」を対象とするとなると、「もつ人」と「もたざる人」の間の感情の差が生じる。
  「ワシら茅葺き民家所有者の苦労も知らないで、好きなことを言うな」で終わってしまっては、参加意欲、協力意欲も失せてしまう。

「日本の美の伝承」、「伝統技法の継承」、「農村文化の伝承」を進めるためには、新しいものの中に、古いもの良さを積極的に取り入れる挑戦も必要である。「古いものもつ人」だけでなく、「古いものをもたざる人」も「日常生活において日本の伝統美」を楽しみ、継承する仕組みづくりをシンポジウムの中で考えていきたい。

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草葺き家屋リサイクル

現在、真庭郡内には金属板で被われながらも、500〜600棟の茅葺き家屋が残存している。
その中には、文化財クラスの立派な茅葺き民家も存在していますが、空家予備軍や崩壊寸前の廃屋も多く見られる。
この傾向は、真庭地域だけでなく、中四国、九州、近畿地方の山間部に広くみられることがわかっている。
廃屋は、解体して処分するとなると多額の費用がかかるため、当分の間は物置などととして利用されると考えられるが、急速に痛みが進行し、風雨にさらされるうちに、古材(建築部材)として活用できなくなる上に、景観や地域イメージを悪化させることとなる。
  美しく管理された草葺き民家は、昔懐かしい農村原風景を演出するランドマークであり、地域の資源になることが多いが、廃屋と化した民家は地域景観を阻害することもある。
  新庄宿に見る草葺き民家もそうなるかもしれない。
一方で、スローライフや田舎暮らし、自然との共生などへの憧れからか、古民家のリニューアルや移築再生などの経済活動も見られ、市場(マーケット)的にはかなりの潜在需要があることがわかっている。
  これら、市場(マーケット)を開拓し、新しい経済需要を発生させることで、失われゆく草葺き民家が保存再生されていくことも考えられる。
  これについては、資金面をはじめ、個々の個人や事業者では難しい問題が多くあるばかりが、本来、現地に残し、地域資源として活用すべき家屋さえ、業者の営利活動の中で失われることもある。
そこで、古民家の保存活用や再生リサイクル、都市農村交流、田舎暮らし、農村風景の保全に関心をもつ個人や事業者が「異業種交流的」に連携し、草葺き民家保存再生の事業協同組合などを立上げる。
  あわせて、市場経済のもとに事業活動を展開させることと併行して、情報を共有しながら、新しい市場(マーケット)を開拓し、美しい国土景観の保全形成や環境問題を考える全国会議を開催したい。

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グリーンツーリズムでの活用

これら真庭地域の環境を生かし、草葺き民家の保存活用を考える上で、グリーンツーリズムが有効と考えた。

 現在、自然派指向、ふるさと指向の人が増え、豊かな緑や農山村のよさを求めて、多くの都市生活者が農山村に遊びに来ており、行政も中山間地域の活性化を目的に都市農村交流を促進しようとしている。
  そのためには、地域に暮らす人が連携し、グリーンツーリズムを生かした農村ビジネスを考えることも必要と思う。
  そして、進めていきたいのがグリーンツーリズムについての調査研究、地域ノウハウの蓄積、情報の共有であり、活動を効率的に推進するための組織づくりである。
  茅や間伐材・古材(古民家部材)を資源として活用し、「草葺き屋根の風景」を増やして行きたいと考えている。
  それには、古民家の修復活用だけでなく、「草葺き屋根のセカンドハウス」など新しいタイプ草葺き屋根の家についても考えたい。
  今後は、・・・
     @地域資源の掘り起こし評価・紹介、
     A古民家調査・データベース化、
     B次世代の茅葺き建築物の研究開発、
     C地域ガイドシステムづくり、
     D古民家トラストバンクの調査研究、
     E美しい農村風景づくり手法の調査研究、
     F農村文化伝承行事の開催、
     G農村山村交流促進、
     H農家と消費者の交流促進
・・・などについて取り組む計画である。
  以上については、コミュニティビジネスや農村(ふるさと)ビジネスに結びつくよう、住民や団体が連携連絡を取りあって進めることも必要である。
従来なら、行政が窓口になって組織化を進めるというのが普通であっが、我われは、農村ビジネスという側面に重きをおいて、グリーンツーリズム事業協同組合とNPO的都市農村交流研究会による二重構造の組織づくりを検討している。
  これについて少し説明すると、都市農村交流や農村ビジネスに関心をもつ個人や農家、事業者(主にサービス業種)が「異業種交流的」が少数集まり、機動力の高い事業協同組合を複数組織し、事業活動を展開させるのと併行して、真庭地域を対象に都市農村交流や農村環境保全を目的としたNPO的研究会を組織することによって、情報の共有化などの連携をはかるという形態を考えている。
別荘は、その性格から、つかわれないでいる時間の方が圧倒的に多いことから、オーナーとなる利用者が使用しない時は、民宿として利用するというものである。
  草葺き屋根なので、不特定多数の人の宿泊に利用できないということであれば、共同オーナー性あるいは会員利用を考える。
「草葺きの家」は特定の場所に集中させる必要はなく、広域的なグリーンツーリズム構想の中で、町村の境界を越えて分散させることも検討する。
  また、「みんなの草葺き宿」は最初からたくさん建設する必要はない。オーナーや会員を募集し、グラウンドワーク活動の中でシンボル的に第1号棟を建て、多くの人が利用する中で、様子をみながら第2号棟、第4号棟を建てていく。このような協働作業で「草葺きの家」を増やし、数年後には10棟以上の「草葺きの家」を建設する。
そして「草葺きの家」を建てる活動を展開する中で、草葺き文化や草葺き技術に関するノウハウが地域に蓄積されることにより、伝統的草葺き民家の保存活用をはじめ、グラウンドワーク活動による草葺き公園施設の整備、「次世代の草葺き住宅」や「草葺き公共施設」の出現をみるようになる。
  グラウンドワーク活動による草葺き公園施設としては、耕作放棄水田や低利用公共緑地でのビオトープ園地づくりであるが、草葺き屋根の休憩小屋やゲート門、管理棟、トイレ棟、水車小屋(水車発電)などで固定施設で風景的な演出をはかるほか、草葺き基地づくりや草葺き屋台村農村市、仮設草葺き庵村での農村文化フォーラムの開催などの体験イベント、交流イベントでの空間利用をはかる。
  「草葺き公共施設」としては、自然館やビジターセンター、案内所、地域博物館、「田舎暮らし交流館」、体験学習施設、環境学習施設、特産物の販売所、アンテナショップなどが現実的であるが、もっと身近にバス停、ゴミステーション、農機具庫、青空市場、料金所、トイレ棟、農村広場の休憩所なども風景的には検討の余地がある。
話しをグリーンツーリズムに戻すと、「草葺きの家」の管理運営とそれ以外の農村民泊施設との関係が気になるところである。
  「草葺きの家」の家は、セカンドハウスとして個人で所有管理するもの、NPOや集落などで共同オーナー性で管理するものが考えられ、会員性の農村民泊施設としての利用が考えられるが、グラウンドワーク活動により時間をかけて増やすこととし、並行して、空き家(古民家)や農家の「離れ」を改築した農家民宿を考える。
真庭遺産研究会では、庄屋屋敷をはじめ古民家の風景の保全や建物そのものを保存すべく活動を展開しているが、古民家の保存を推進する上で、その活用を考えることも重要で、民家としてトラスト活用や農村民泊施設としての利用も検討している。
  その場合、課題となるのは、「田舎暮らし」やグリーンツーリズムなどを推進する上での地域の受け入れ体制である。
  真庭郡の場合、良好な自然環境や歴史的環境は存在するが、安価に宿泊滞在できる施設は不足している。その理由は様々考えられるが、経営ノウハウや意欲の問題も大きいと思われることから、勉強会や交流会、視察会などを重ねる中で、自分たちにみあったノウハウを考える機会として研修旅行を開催する。
過疎高齢化が進行し、農地や山林の荒廃が問題化する中山間域において、住民・NPO等と事業者(木材関連、造園土木関連)、学識経験者(農村経営、建築)、都市生活者などが協働して地域素材や資源を生かす実践モデルやが生まれると同時に、「草葺き文化・技術」、「グリーンツーリズム」についての地域ノウハウが生まれる。
  そして、新しい「都市農村交流」や「田舎暮らし」をスタイルがつくられるとともに、新しいビジネスモデルや産業、雇用が生まれ、真庭地域全体の経済振興と活性化がはかられることを期待する。
草葺きの郷づくりによるグリーンツーリズムの推進は、「田舎暮らし」や「都市農村交流」といった文化性に頼っただけの地域の活性化を目指しているのではない。
  「草葺き屋根」やグリーンツーリズムについて勉強し、新しいアイデアや取り組みを進める中で、中山間地ならでは、真庭地域ならでは、地域ノウハウが生まれ、ひいては新しいビジネスモデルを開拓することにも意義を見出している。
  そのためには、多くの人や団体が関係し、情報を共有する中で、新しいものを作り出す仕組みが必要であるあることから、「草葺き屋根」や地域素材、建築、環境、グリーンツーリズムに関心をもつ個人・団体が参加する組織(事業組合、農業法人)を組織する。

 

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草葺きの郷づくり構想

「新庄宿の草葺き民家の風景保存」からスタートした草葺きサミット関連の動きも「茅場(里山草原)の保全」、「草葺き技術の伝承や応用」、「次世代草葺き住宅」、「草葺き屋根(農村原風景)保全の社会システム」、「田舎暮らし、都市農村交流」などの議論を重ね、「草葺き紀行」の開催や関連シンポジウム、フォーラムへの参加などの活動を展開していくにつれ、「草葺き屋根の修復再生」は技術的にも経済的にも無理なくできるという確信を得ることことができた。
「茅場の保全再生」や「草葺きネットワーク」の構築などにより、修復工事技術面、工費面での課題に対する回答が見えてくるに中、「保全再生の対象となる草葺き屋根はどこにある」という壁にぶつかった。
そんな中、全国的に見て岡山県は、茅葺き屋根の民家が多い地域とされていることを知るにあたり、「トタン(金属板)を被せた草葺き民家も保存修復の対象にすべし」という考えを強めた。実際、真庭地域には、風景的にも優れた草葺き屋根の民家も現存しているが、金属板を被せた建物にも素晴らしい草葺き民家がみられます。
  トタン(金属板)を被せたものであれば、ほかにも素晴らしい草葺き民家は多くあります。それは真庭は木材の産地であり、立派な建築文化があったからと考えられる。
中にはトタン(金属板)を剥がし、草葺き屋根を葺き替えるだけで、素晴らしい農村風景が蘇る環境にある民家も見られる。
  加えて、真庭には、蒜山高原という広大な草原地帯が広がっており、多くの茅を生産する環境を見ることができる。
「美しい日本の自然と風景の保全再生」を考える上で、「田舎暮らし」や「都市と農村との交流」を促進することの意義は大きい。それは、つきつめていけば、情報の共有、「思い」の共有というところにぶつかるであろう。
  ここでは、真庭郡中北部(新庄村、美甘村、川上村、八束村、中和村、湯原町、勝山町)において、「草葺き屋根」の新しいセカンドハウスの開発や、それを利用したグリーンツーリズム(農村滞在旅行)の推進について「協働」で調査研究し、全国に先がけた実践モデルや地域ノウハウ、ビジネスモデルをつくることで、「都市農村交流」や「田舎暮らし」を促進し、真庭地域全体の経済振興と活性化をはかることを目的とする。
「田舎暮らし」を促進する上で、また、「都市と農村との交流」を促進する上で、ヨーロッパにみるグリーンツーリズム的な余暇利用と宿泊滞在施設は必要である。
  日本の農村には手がるに安い宿(安価に利用できる宿泊滞在施設)は少ない。また、ドイツにみるような農村民宿や民泊施設が少ないのも現実である。
  そしてもうひとつ、「田舎暮らし」を促進する上で、また、「都市と農村との交流」を促進する上で、生きた農村情報を入手あるいは提供できる仕組みが乏しいということであると考える。「生きた農村情報」とは、「双方向の情報交流」や「生きた人による情報紹介」のことをいう。

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茅場と草原

美しい草原風景が魅力の中国山地であるが、草葺き屋根が姿を消しっていくのと連動するかのように、かつての草刈り場の風景は次第に見られなくなっていき、全国に広く見られた里山草原は山村の限られた場所にしか残されていない。
草葺き屋根の民家や建物を考える場合、その材料となる茅を生産する環境についても考察する必要がある。かつて、中国山地の農村では、広い面積で茅場と呼ばれるススキ草原が分布しており、のどかで牧歌的な里山風景が広がっていた。
  そこには、秋の七草をはじめ、美しい山野草が多く見られたほか、草原棲の昆虫や野鳥、小動物が生息しており、地域固有の生態系がみられた。
現在、里山ブームであり、落葉広葉樹からなる雑木林が人気で、棚田や雑木林が里山の代表的景観とされているが、草刈り場として利用されていたススキ草原(茅場)は忘れてはならない里山の環境要素である。
この美しい草原風景は、茅の需要が少なくなるとともに、多くの農山村でスギやヒノキの植林にとって変わられ、今は蒜山地域や新庄村、上斎原村、阿波村などの一部の山村に残るのみとなったが、その残された茅場も人の手が入らなくなり荒廃しつつある。
草葺き屋根をもちいた公園施設の導入も公共事業活用の例であるが、環境緑化や土木工事に自然素材である茅や葦を利用することはできないであろうか。
  今、どこの河川でも河原に繁茂するツルヨシ(葦)が水辺の景観を阻害し、人と水辺の距離を遠ざけている。
  この葦も草葺き屋根の材料となる。とくに、大山寺の宿坊などの豪雪地域では草葺き屋根にこの葦も利用されていると聞く。葦にも使い道はある。
  コンクリートブロックを多用した河川工事による「ふるさと川」の自然や風景の喪失から、伝統的川づくり工法が見直されている。
  新潟県では、粗H(ソダ)と呼ばれる「木の枝や低木の幹」を集め束ねた自然素材が木工沈床など伝統的川づくり工法の見直しにより利用されているほか、伐採跡地の緑化などにも活用されていると聞く。
  今後は、「ふるさとの川」の環境を再生させる里川工法をはじめ、ビオトープづくりなど、生物多用性の確保、地球温暖化防止に向けた都市緑化などの公共事業において葦(ヨシやツルヨシ)がつかわれるよう調査研究も進めていきたい。

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茅場の保全

草葺き屋根の民家や建物を考える場合、その材料となる茅を生産する環境についても考察する必要がある。
  かつて中国山地の農村では、広い面積で茅場と呼ばれるススキ草原が分布しており、のどかで牧歌的な里山風景が広がっていた。
かつて西日本の農山村の多くは、林縁地帯に栗や柿などの果樹や植えたり、畑や牧野として利用したり、草刈場として利用したりしていて、そこには明るく見晴らしのよい里山の環境が存在していた。
  そこには、秋の七草をはじめ、美しい山野草が多く見られたほか、草原棲の昆虫や野鳥、小動物が生息しており、地域固有の生態系がみられた。
美しく管理された林野の風景が農村の魅力の一つであるが、現在、農村のいたることろで植林地が民家のすぐ裏まで迫り、そこは暗く季節感に乏しい環境となっている。
  真庭遺産研究会では、草葺き民家オーナーズクラブなどと連携し、茅葺き民家の保存修復とあわせ、茅の供給地である草刈り山(里山草原)を美しく管理しながら(秋の七草プロジェクト)、林縁農地や水辺の自然復元をはかることで、ビオトープ・コリドーとなる「水と緑の回廊」を再生させるべく活動を進めている。
そして、注目しているのが、蒜山高原などの火山麓に広がる広大なススキ草原である。
  蒜山地域や大山地域などに残る美しい草原風景の保全再生をはかりながら、茅(ススキ)や葦(ヨシ)、笹(ササ)、粗朶(ソダ)、間伐材、土など、農村域において再生産可能な自然系建材(環境資源)を安価安定的に供給する地域システムを考えている。
茅の供給地となりうる草原の分布状況や草原としての環境調査を実施し、草葺き民家再生につとめる民間団体や京都の美山町、岐阜県白川郷、吉永町などと連携して、茅銀行(バンク)ネットワークの設立をはかるとともに、荒廃が懸念される茅場について、グラウンドワーク・トラストの方式での茅刈りを行い、ストックヤードの確保、茅の流通ルート・販路の確立をはかっていきたい。

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草原サミット

草原は、火入れ、放牧、採草という数百年以上に渡って繰り返されてきた農畜産の営みによって、日本各地に形成されてきた。主に入会地として利用、管理されてきた草原は、戦後には農畜産の近代化、近年にあっては牛肉の自由化により不要になり、衰退しつつある。
このような現状を受け、全国草原シンポジウム・サミットは大分県久住(1995年)で始まり、過去5回行われてきた。これまで、草原に対する国民の関心を高めると共に、草原保全の考え方及び実践に関する議論や各地での取り組みが報告されてきた。
大山から皆ヶ山、蒜山三座の麓に広がる高原農村域は、里山的環境要素の多い中国山地にあって、雄大な眺望をみせ、草原、放牧場、高原野菜畑、樹林帯、湿地、沢、水田がモザイク状に入り組んで、生物多様性に富んだ「水と緑の回廊」を形成している。
茅場、草刈り山、採草地と呼ばれた里山草原の存在は、かつて全国に広く分布し、その存在があって美しい山村風景と生物多様性が保全されてきた。
  また、火山国日本では大型火山を中心に美しい自然や景観がみられた。これら火山の多くは国立公園・国定公園に指定され、自然や景観が保全されているが、一歩公園区域外に踏み出すと開発が進んでいることから、生物多様性やビオトープとしての質が低下し、生態系の分断が見られる。
  このような状況は全国各地でみられ、広域的な問題であることが多く、関係する地域が知恵を出し合って、連携して環境保全活動を展開することが必要となっている。
そこには、希少な植物種や植物群落も多く生育し、特別天然記念物オオサンショウウウオなど珍しい生き物も多く棲息している。一方、美しい自然や風景に恵まれた地域であるが、火入れ(山焼き)など、古くから人の自然と共生する人のいとなみが見られ、草原の周囲には多くの文化財が散在している。
そのように、優れた自然と景観に恵まれた地域であるが、観光開発が進み、多くの観光客が訪れ、かつての美しい自然は次第に失われつつあるほか、高齢化や産業構造の変化による草刈り山(里山草原)の荒廃が懸念されいる。
今回の全国シンポジウムでは、大山蒜山地域における草原や火山麓の環境保全活動を検証事例として、「草原地域」および「火山麓地域」での環境保全に係る実践モデルを全国に向けて示す。
大山と蒜山は連続する山岳自然域でありながら、鳥取県、岡山県の県境により隔てられていることから、環境保全における連携した地域活動が育っていない。
かつて草原は、採草地や草刈場、茅場などとして、全国に広く分布し、生物多様性の保全と美しい山村景観を演出してきたが、現在、急激に失われつつある。
  また、火山国「日本」では、富士山、羊蹄山、岩手山、岩木山、鳥海山、大山などの火山麓に雄大かつ美しい風景がみられたが、観光開発などにより、急激に変貌している。あわせて、大型火山は市町村あるいは県境を越えて存在していることから、その環境の保全について広域的な活動連携が必要とされている。
そこで、「大山・蒜山地域の魅力とその環境保全の必要性を広く国民にアピールするとともに、様々な立場間における共同参画型草原保全の実践的な方法を探ること」を目的に、平成16月11月12日(金曜)、13日(土曜)、14日(日曜)と、全国における草原関係市町村の首長が現状や取り組みを報告するサミット、講演、シンポジウム、現地見学等を行う。

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ビオトープの保全

ビオトープとはいわゆる生物の生息空間のことである。生命:バイオbioと、場所:トポスtoposの合成語である。
  このページでは、蒜山麓の環境に着目し、茅場となる草原や湿地、牧野、水田などの火山麓環境要素についてビオトープとして考えてみた。
大山から蒜山三座(上蒜山、中蒜山、下蒜山)へと連なる火山列は、里山的環境要素の多い中国山地にあって、雄大な眺望をみせている。とりわけ、大山や蒜山三座では火山麓扇状地が発達し、のびやかな裾野の景観をみせている。
  ここ大山・蒜山地域には、裾野から林縁部にかけてススキ草原からなる採草地が広く分布し、蒜山高原をはじめ美しい高原牧野の風景が広がっている。
とりわけ、蒜山地域は、大山隠岐国立公園に含まれる自然豊かな農村域で、草刈り場(ススキ草原)、牧場、高原野菜畑、樹林帯、湿地、沢、水田がモザイク状に入り組んで、生物多様性に富んだビオトープコリドー(回廊)を形成している。

 真庭遺産研究会では、農地の荒廃や別荘地開発によって、生物多様性が低下しつつある蒜山三座の山麓について、落ち葉、茅、葦、笹、粗朶(ソダ)、間伐材などの自然に帰る自然素材と、畜産および観光によって発生する多量の有機系廃棄物を用いて、ビオトープとなる林縁農地や水辺の自然復元をはかることで、水と緑の回廊となるビオトープ帯(緑のエコトーンベルト)を再生させる土地利用や緑化方策について、具体的な対象地や工法について調査検討を行っている。
ここで考えるビオトープ再生は、「農村原風景の保全再生」と「生物多様性の保全」、「有機系廃棄物のリサイクル」を目的に、ビオトープコリドーを形成しようというものであり、落ち葉、茅など自然材や生ゴミ堆肥を用いて、土地の保全をはかり、風景的な演出や利用を高めたい。
ここでは、蒜山地域において、生物多様性が低下している林縁農地や牧野について植生分布調査を実施し、ビオトープコリドー(水と緑の回廊)再生のための基本計画(マスタープラン)を作成するとともに、 ビオトープコリドー再生計画をもとに、別荘開発が進む山麓域について、5箇所程度を選定する。

 その上で、「高原自然景観の保全」、「生物多様性の保全」、「資源循環型観光地の形成」をはかることを目的にモデル的に「ビオトープコリドー(水と緑の回廊)」の整備企画をの検討を行い、グラウンドワーク方式(市民参加方式)での自然環境再生事業としての計画立案を行う計画である。
真庭遺産研究会では、土づくりグラウンドワーク活動と自然材による水辺ビオトープの整備をとり入れ、高原農村らしい牧歌的で美しいビオトープの再生をはかるよう企画し、荒廃が懸念(一部は既に原野化)される山麓牧野の環境を対象に、昔の茅場(ススキ草原)や湿地の環境の再生や、生物多様性の保全や希少な湿生植物群落の生育環境の保全についての調査研究を行っている。
真庭地域で考えるビオトープ再生は、「昔懐かしい農村原風景の保全再生」と「山麓域における生物多様性の保全」、「ふるさとの自然を生かした環境学習の促進」をはかることを目的に、ビオトープ園地を形成しようというものであるが、草葺き屋根の休憩舎や観察舎など自然素材を用いた施設を配置することで、風景的な演出や利用を高めていきたい。
ここ20年あまりで里山という言葉が有名になった。奥山に対して、人里近くにあって人の手が加わった山林あるいは林野域を示す概念である。
  ごく最近まで普通に見られた里山の環境は、自然と人との共生によって維持されていて、生物多様性の意味からいっても興味深い空間となっている。
  産業構造の変化や農村の都市化にともない、里山の姿も大きく変わりつつあり、昔ながらの里山の景観は限られた地域にのみ残されている。
  今、この里山の環境に多く人の関心が向けられ、環境ボランティアや市民参加による里山の管理活動や自然の復元活動が行われている。川についてはどうか・・・
農村を流れる川は、河畔に農地が広がり、周囲には集落が見られることから、古くから人の手によって管理され、利用されてきた人里の川であり、生活の知恵や文化がみられた。

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火山麓の風景

大山や蒜山三座では、その麓に火山麓扇状地と呼ばれる放射状に広がるスロープ斜面が発達し、のびやかな裾野の景観をみせている。
  このように大きな火山の麓には、裾野から林縁部にかけてススキ草原や放牧場、高原野菜畑などが広く分布し、火山麓ならっではの美しい高原牧野の風景が広がっている。
大きな火山の麓には、かつて広大な草原が広がり、草原風景の向こうに秀麗な姿の火山峰を仰ぎ見ることができた。 
  茅場となる草原の保全再生は、火山麓のような広大で、平坦な緩斜面の環境に着目にしたい。
全国には○○富士と呼ばれる美しい火山峰(いわゆる『ふるさとの富士』)が存在し、朝な夕なに望まれている。
  その代表選手をあげれば、蝦夷富士と呼ばれる羊締山、南部富士と呼ばれる岩手山、出羽富士と呼ばれる鳥海山などがある。
  これら有名な○○富士の多くは円錐形の成層火山で、麓には広大な火山麓扇状地や裾野台地がみられ、火山麓特有のスケールの大きな高原景観が広がっている。
火山国である日本では、富士山や羊締山、開聞岳に代表されるように美しい円錐形の成層火山も多く、それぞれが○○富士と呼ばれ地域のランドマークとして紹介されてきた。
  また、浅間山や八ケ岳のように正式に○○富士という呼び方がなされていない山岳であっても、同じような大型の成層火山であれば、やはり故郷の山として親しまれてきた。
これらふるさとの富士や大型成層火山(ふるさとの富士)は、地域を代表する優れた景観として、日本の原風景とも呼べる象徴的な景色をなしており、その眺めは日本人共有の財産でもあった。
  茅場や草原については、これら、美しい火山峰の景観とともに、その保全再生、活用を考えて行きたい。

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かやぶき関連の会

草葺き民家の保存や活用を考える場合、様々の分野の人や団体との連携が大切と考えている。ここでは、草葺きサミットを運営していく中で、立ち上がった会やネットワークや協力してもらった組織を紹介していく。
システムとして草葺き民家の保存活用を考える場合、茅葺き職人や住まい手、建築関係者のほか、多くの分野の人の関与が必要となる。
真庭遺産研究会では、2001年春より、出雲街道の宿場町(新庄宿)に残る草葺き屋根の民家の保存活動を展開してきた。
  活動を展開する中で、草葺き屋根に関心の高い個人や団体を招いて草葺きサミット(草葺き屋根のシンポジウム)を開催してみようという話しになり、自分達はもっと草葺き文化について勉強する必要があるということで、草葺きサミット準備会を立ち上げ、日本民家再生リサイクル協会や茅葺きネットワークほか、多くの団体の協力を得ながら活動を進めている。
草葺き民家は多くの場合は、古民家であり、町並み保存や古民家再生などの活動団体の思いの深い民家である。
  また、ふるさとの風景の代表となる草葺き民家は、田舎暮らしに思いをよせる都市生活者にとって、憧れであるとともに、自然愛好家や農村文化の振興、循環型社会の構築に向けて活動する個人・団体にとっても気になる存在である。
草葺き屋根の家は、住居であり、景観資源であることが多い、そして、その材料となる「茅」は、工場でなく、山野や湿地帯など自然域で生産されることから、植生や生態系の分野からのアプローチも必要である。
  そして、農村景観を演出する草葺き屋根は、画家や写真家など、「日本の美」を求めて活動する文化人にとっても大切な対象であることから、大自然の眺望や農村景観など、自然景観や原風景を考える組織・団体との連携も深めて行きたい。


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茅葺き友の会

「草葺き友の会」は、平成13年3月に真庭郡新庄村において開催された「グラウンドワーク草葺きフォーラム」の際に発足した「草葺き民家や農村文化を楽しもう」という交流組織である。
  平成17年に晴れの国野生生物研究会が美作市福山地区で茅葺き民家の活用調査を実施するに際して、情報提供や活用構想づくりに参画するにあたり、新しいメンバーを仲間に入れ、組織拡大をはかるとともに、「草葺き環境くらぶ」へと名称を変更し、草葺き民家の保存・再生・活用の活動拡大をはかっている。
山間の農村には、里地里山の環境の中、美しくも懐かしい日本の農村原風景が残されている。
  とりわけ、草葺き屋根の風景は、多くの人の心に「ふるさとの自然や風景」がかけがえのない日本の宝のであると語りかけてくる。
  「友の会」は、草葺き民家に関係する企画を考え、広く一般の人たちの参加を呼びかけたいということで、「草葺きエコツアー(日本草葺き紀行)」を開催してきた。県内でけでなく、日本各地の草葺き風景」を訪ね、その地に暮らす「草葺きファン」の方と意見交流を行ってきた。
平成13年4月に初回イベントして、岡山県阿波村に残る草葺き民家や自然を訪ねる「加茂郷阿波・草葺き源流紀行」を開催したのをかわきりに、その年5月に岡山県加茂町、6月に鳥取県智頭町、京都府美山町、真庭郡川上村・八束村、9月に岡山県吉永町、10月に真庭郡湯原町・川上村(真庭市)、11月に岡山県西粟倉村・東粟倉村などに探訪会を開催し、草葺き民家や茅場を訪ねている。
  このほか、その年5月には岐阜県白川郷で開催された茅葺きシンポジウムに参加し、白川郷や五箇山の合掌造り民家や茅場を視察している。

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真庭遺産研究会

真庭遺産研究会は、地域住民が大切にしたいと思っている故郷(真庭)の自然や景観、風物詩、原風景、歴史的資源、古民家、大きな木、伝統技法などの遺産的資源を調査し、紹介することで、保護保全をはかることを目的に活動する住民団体である。
写真にある古民家は、昔の庄屋の家である。ここは、岡山県真庭市の旦土というところで、旭川の河畔に位置している。民家の側を流れる川は、旭川支流の旦土川であるが、約14Km下流の旭川にダムがあることから、このあたり冬から初夏にかけて湖となる。
  ここ旦土地区は、真庭市の玄関にあたり、高速道路(岡山道)が開通するまでは、ここを通る多くの人が「土蔵のある河畔の館」の景観に気をとめていた。また、多くのアマチュア写真家が撮影し、フォトコンテストなどで馴染みの風景となっていた。しかし、「誰の家だろう」、「今でも住んでいる人がいるのだろうか」、「昔は何の建物だったんだろう」など、風景の由来を知る人は少なく、まして、保存活動をしている人たちがいたことは、あまり知られていなかった。
  この「土蔵のある河畔の館」は、数年前から廃屋(空き家)になっている。暮らす人のいない民家は老朽化するのが早く、そうとう傷んでいる。「このままで朽ち落ちさせるのは忍びない。なんとか、保存したい。」ということで、地元の町おこしグループが所有者に理解を求め、地域のために維持管理しようとていた。しかし、これ以上の老朽化が進むのを防ぎ、活用できるようにするためには、相当の費用がかかる。
多くの人が関心をもち、多くの人の心を引きながら、朽ち落ちていく「地域の遺産」、もっと情報交換ができたら、もっと多くの人に知ってもらえたら、きっと保存と活用ができるだろう。こんな建物は、まだまだあるあるはずだ。今はそうでなくても、いずれは同じ運命をたどる古い建物も多くあるはずだ。
  古い建物だけではない。自然にしても同じことが言える。文化財や天然記念物でもない。観光資源として注目を集めているわけでない。しかし、後世に残しておきたい故郷の自然や景観、遺跡がある。われわれは、それらを「真庭遺産」と呼び、掘り起こし、多くの人に知ってもらおう。これが、「真庭遺産研究会」発足の原点である。
大切にしたい故郷の自然や風景がある。いい所なので、ほかの人にも教えたいが、ずっとこのままで静かに残しておきたい。
  古い大きな家や家並みがある。 よその人が見たらどう思うだろう。きっと気に入って好きになってくれるだろう。もっとみんなに知ってもらい、この町(村)よさをわかってもらいたい。
  石を積んで造った古い工作物がある。今ではこんなものは造られないだろう。 だけど、観光資源として紹介するほどのものではない。また、文化財にも指定されていない。寂しいけどいつかはなくなるんだろう。
そんな地域に残る美しい自然や古い建物、昔ながらの農村の風景が好きな人は、どれくらいいるのだろうか。声に出して言わないけど、好みの違いはあるかも知れないけれど、きっとほとんどの人は心のどこかに、
こういうものを大切にしてほしいと思っているはずだ。
「知ってもらうだけで、保護保全につながるのか」と言われるかもしれないが、多くの人が、それぞれの特異分野で見つめることで、保存する価値がわかるものも多くある。知識だけでなく、感性や「心」でみることは大切である。眠っていた感性が呼び覚まされることもある。
  まずは、多くの人に本当のよさ知ってもらうこと、そこで生まれる人々の交流。それが地域のエネルギーとなる。これも地域遺産(例えば真庭遺産)の魅力である。
真庭遺産研究会事務局
〒719-3121 岡山県真庭市上河内652-1
tel 0867-55-2831・fax 0867-55-2832

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草葺き民家オーナーズクラブ

“オーナーズクラブ”なんて言ったら、なんとなく裕福でリッチに聞こえませんか。
  草葺き屋根の家を所有している人の中には、そのよさやありがたさを十分に理解し、がんばっている人が多くいます。
  残念なことですが、そういう人たちもごく一部になってしまい、近くに相談する人もなく孤立化しているのも現状です。
草葺きの家」を所有する人、「草葺きの家」に憧れる人が交流し、情報の交換をしたり、協力しあったりする組織があれば、失われる一方の「草葺きの家」が少しでも残るのではないかと思い、“草葺き民家オーナーズクラブ”を結成しました。
  このクラブは古い草葺き民家だけを残そうとするものではありません。自然と共生する暮らしを楽しみながら、「田舎暮らし」や「都市農村交流」を推進し、新しい農村ライフ、地球環境時代のライフスタイルを“道楽”として楽しむ集まりでもあります。
  新しいデザインの「草葺きの家」をもちたい人、仲間を募って「草葺きの家」をもちたい人も歓迎します。これからは「草葺き家」を増やしていきましょう。
  茅場を共同で管理したり、みずから茅葺き技術を習ったりする中で、仲間が増えていけば、コストの軽減や維持管理も楽になります。新しいビジネスができるかも知れません。

草葺き民家オーナーズクラブ 結成 趣意書
      ー草葺き民家所有者が楽しみながら連携しよう!ー

 私たちは、美しい日本の自然と農山村の原風景を大切にしたいと思い、草葺き屋根をその象徴として、シンポジウム、視察会などを通じて見聞を広め、深化させてきました。草葺き民家を時代に適応したスタイルで生かし続けることは日本の美の伝承であり、貴重な財産の継承に繋がります。
  かって、草葺き民家は日本の農山村どこでも見かけるごく当たり前のものでしたが、草葺き屋根維持の基盤であった「結い」は、ほとんどの集落で崩壊し、草葺き民家の多くは孤立状態に陥り、維持したくても独力では困難な状況となっています。
  一方、現在では、道路網が整備されて交通の便もよくなり、IT等情報網も整備され、距離感は昔と全く違ってきており、生活における地域性は大きく変り、広がりました。その結果、孤立・点在したままになっている草葺き民家を繋ぎ合う、かっての「結い」の復活も包含する、新たなネットワーク「21世紀の結い」の結成が可能な状況が生まれてきています。
  この新たなネットワーク「21世紀の結い」を夢に終らせることなく実現するには、何よりも先ず草葺き民家所有者が連携し、協力し合って、活動し始めることが肝心です。
  その第一段階として、草葺き民家をもっている人と草葺き屋根の家をもちたい人とで、楽しみながら草葺き屋根を維持していく、"草葺き民家オーナーズクラブ"を結成させることとしました。
  クラブでは、草葺き民家をもっている人と草葺き屋根の家をもちたい人とで、親睦を図り、情報を共有することや共同作業などによって、草葺き民家の維持・管理が楽になるようしたいと考えております。
  このような思いから、クラブでは次のような活動を考えています。

  1.草葺きに関する情報交換
   2.草葺きに関する困り事・悩み事についての相談、意見交換
   3.クラブ便りの発行(共有すべき情報の伝達)
   4.有志による互助共同作業の実施
   5.交流会の開催
   6.趣意賛同者の開拓と入会勧誘 兼 草葺き民家所有者の意識調査

2003年10月吉日
金平坦ほか発起人一同

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